学校検診
学校での視力検査は、視力をA~Dの4段階で評価する簡易的な方法で行っています。A判定以外の結果が出た場合には早めに眼科を受診し、専門的な視力検査をお勧めします。必要があれば調節麻痺下での視力検査を受け、近視・遠視・乱視の診断、疾患の有無、眼鏡の必要性を調べます。
PEDIATRIC OPHTHALMOLOGY
生後間もない赤ちゃんの目はぼんやりとしか見えていません。その後、遠近感、立体感などの見る能力は発達し、6歳の頃には大人と同じようになります。この間は、お子様の目の成長にとって重要な時間ですが、仮に異常があったとしても、小さなお子様であればうまく表現することができません。ご家族の方が注意深く見守ってあげることがとても大切です。物を見る時、目を細めたり首を傾けたりする、或いは顔を近づける、両目が寄っている、目の大きさが左右で異なる、明るいところで眩しがるなどです。これらの症状に関連する目の疾患として、斜視、弱視、左右の視力に大きな差のある不同視、色覚異常、先天性の白内障や緑内障、網膜の悪性腫瘍である網膜芽細胞腫、眼瞼下垂、さかさまつげなどが考えられます。
学校での視力検査は、視力をA~Dの4段階で評価する簡易的な方法で行っています。A判定以外の結果が出た場合には早めに眼科を受診し、専門的な視力検査をお勧めします。必要があれば調節麻痺下での視力検査を受け、近視・遠視・乱視の診断、疾患の有無、眼鏡の必要性を調べます。
近視とは遠くを見た際にピントが合わず、文字や物がぼやけて見える症状のことをいいます。日本人は他国の人と比べて近視の方が多く、およそ4000万人がいるといわれています。近視の頻度は近年増大し、パソコンやスマートフォンの視聴時間が増えると共に、今後さらなる増大が懸念されています。近視の合併症として近視性黄斑変性症、網膜剝離、緑内障などがあります。これらの強度近視による近視関連疾患の発症を極力防ぐためにも、日本でも近視進行抑制治療の研究が真剣に取り組まれるようになってきています。
現在行われている近視進行抑制治療には、マイオピン点眼、オルソケラソロジー、多焦点ソフトコンタクトレンズ、累進屈折力レンズ眼鏡、Red Light therapy、屋外活動(太陽光のバイオッレットライト)などがあります。当院ではマイオピン点眼を取り扱っております。
マイオピン(低濃度アトロピン点眼薬)は、近視の進行を遅らせる効果が確認されている点眼薬です。有効成分のアトロピンは、以前から近視の進行を遅らせる効果が確認されていた一方で、1%の配合では瞳孔が開くことによるまぶしさ、遠近調節機能低下による手元のぼやけといった副作用が見られました。
マイオピンは、有効成分のアトロピン濃度を0.01%、0.025%まで薄めることで、近視の進行抑制効果はそのままに、副作用を大幅に抑えた点眼薬になります。当院ではマイオピン0.01%を多くの患者様に処方してまいりましたが、安全性と近視予防効果が確認できましたので、マイオピン0.025%の取り扱いも始めました。0.025%製剤は0.01%製剤と比べ、より優れた近視抑制効果を示すことが確認されています。
マイオピンを開始する場合は0.01%製剤から開始し、0.01%製剤で近視抑制効果が感じられず、近視の進行具合が早い方に0.025%製剤を処方させて頂きます。0.025%製剤の場合は就寝前に点眼しても翌朝に眩しさが残ることがあるため、点眼のタイミングを調整する必要があります。
1日1回の点眼
※最低2年間は治療を継続することが推奨されています
マイオピンは保険適用外となります。
※仕入価格の上昇のため、マイオピン点眼0.01%配合の価格を改定させて頂きます。なにとぞご理解頂きますようお願い申し上げます。
視力は、幼少期より絶えず物を見る訓練を繰り返すことで成長するものです。その訓練が何らかの原因によってできない場合、視力の発達がストップしてしまいます。この状態を弱視と言います。その原因ですが、まず先天的に白内障などを患っている場合、或いは乳幼児の時期に眼帯を長時間装着していた場合、などが挙げられます。又、小さいお子様が斜視になった場合、片方の目を使わないようになって弱視になるケースがあります。更に、強い遠視や乱視の場合では、遠近いずれもはっきり見ることができず、視力が発達せずに弱視に至ることが考えられます。眼瞼下垂といって、まぶたが垂れ下がっている病気がある場合も、網膜に刺激が充分に伝わらず、視力が発達しません。
お子様の弱視を発見するには、家族の注意深い観察とサポートが必要です。まぶたが垂れ下がっていたり、黒目が濁っていたりする場合は、外見でわかりやすいケースです。物を見る時、首を傾けて見る、目を細める、物にぶつかりやすい、転びやすい、小さな物をつかみ損ねることがある、このような兆候が見られたら、すぐ眼科を受診してください。弱視の治療では、眼鏡使用によって網膜の真ん中にピントを合わせる方法が採られます。正しく見ることにより視力の発達を促します。アイパッチという遮蔽具を、視力の良い方の目に装着し、悪い方の目で見ることを促す訓練が行われる場合もあります。
物を見る時、左右の目は目標物に対して同じ方向を向きますが、どちらか片方が目標物の方を向いていない場合を、斜視と言います。その向き方によって、内斜視、外斜視、上斜視、下斜視、回旋斜視と呼ばれます。乳幼児では正常な場合でも斜視に見える場合があります。ご心配がありましたらお気軽にご相談ください。いくつかの原因が考えられますが、目の機能的な問題ではなく、脳や全身性の疾患が原因で生じている場合もあります。治療は眼鏡で視力を改善して目の位置を修正し、両眼で見る立体視ができるようにしていきます。症状によっては筋肉の位置を修正する手術が必要な場合もあります。視力の正常な発達のために大変重要です。